イギリスがEU離脱を決定したのは6月24日だが、それから早2ヶ月半が過ぎた

 イギリスがEU離脱を決定したのは6月24日だが、それから早2ヶ月半が過ぎた。今のところ懸念されていたほどの混乱や、イギリス経済の落ち込みは見られない。むしろイギリスのEU離脱も比較的穏便に進んでいるように見える。
 しかしEUにとっての試練はまだまだこれからだ。というのも、すでにEU各国の多くで反EUや反移民を掲げる極右政党が台頭しており、イギリスと同様の国民投票を求めるようになっているからだ。
 今後最初の試練は、ハンガリーで10月2日に行われる国民投票になる。この国民投票はEUからの離脱を問うものではないが、EUがハンガリーに要求している難民割り当ての是非を問うものになる。
 去年夏に難民問題が深刻化して以来、EUは各国に対して一定数の難民を割り当て、受け入れを義務と決定した。だがそれに対してハンガリーは反発し、割り当てられた難民の受け入れを拒否している。そしてどうするか国民に問うために、10月2日に国民投票を行う。ここで難民受け入れ反対が多数派になったら、ハンガリーとEUの溝は深まることになる。
 またイタリアも秋に国民投票を行い、上院の権限を縮小することの是非を問う。レンツィ首相はこの投票に政治生命をかけており、否決されたら辞職する意向がある。レンツィ首相が辞職したらその後解散総選挙になり、その選挙で極右政党が議席を伸ばす可能性があると見られている。
 ドイツでも9月4日のメクレンブルク・フォアポンメルン州の州議会選挙で、極右と言われる「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進した。EUはあらゆるところに亀裂が入っており、統一通貨・ユーロとともに、これからが崩壊か維持かの正念場となる。

[紹介元] マーケット・オーバービュー これから正念場を迎えるEU