海外FX業者と国内の店頭FX業者は外から見ますと,どちらもネットビジネスでほぼ同じようなことをやっているように見えますが、国内業者は世界でも類稀にみる特殊で複雑な業務オペレーションを行っているのです。
ある意味、その中味は海外業者の法がかなり透明性が高く、何が行われているのかを理解し易い内容になっています。
その違いがNDD方式とDD方式に出ているといえるのです。今回はこのNDD方式とDD方式について考えてみることにします。
海外業者はほぼNDD方式
海外業者の場合、とにかく少人数で業務オペレーションをしているのがひとつの特徴となっています。
なので、顧客の売買オーダーもほとんどすべてを外部のカバー先に流すといった方法をとることで、それに適正マージンを上乗せしているのが実情です。
利益ソースはこの上乗せ部分のマージンとスワップポイントに加算されるマージンだけになります。そういう意味ではかなり明解でわかりやすいビジネスモデルであることがわかります。
このビジネスモデルはNDD・ノンディーリングデスク方式と呼ばれていますが、実はその中でも二つが存在するのです。
STPとECNの違いとは
このNDDのうちもっともポピュラーなのは、20社以上のカバー先と契約し、取引する顧客間の売買は相殺するものの、それ以外はすべてアルゴリズムを利用して買いと売りの価格の最適化を行う方法です。
これにはカバー先にすべて出すストレートスループロセッシング方式(STP)をとるケースと、電子取引所を介して売買するECNの方式が用意されています。
ECNはまったくなにも調整せずに、取引所の最適化でスプレッドがかなり狭くなるようにできており、業者はマージンを外出しにして加算する方式をとっています。
人手が少ない海外FX業者ではこの方式の両方を提供するところが多く「顧客と業者間の利益相反が一切発生しない」のが非常に安心できる仕組みと言えます。
難解なオペレーションを行う国内業者のDD方式
一方国内の業者は、こうしたNDD方式と呼ばれるようなすっきりした取引のオペレーション手法を殆ど導入していません。
国内業者の場合にはスプレッドを「原則固定」とし、通常FX市場にはあり得ないほぼ「固定スプレッド」というものを導入しています。
国内個人投資家の実に8割以上が取引すると言われるドル円では、原則0.3銭の固定スプレッドであり、取引手数料はほとんどの業者が廃止しています。
ですから正直なところ、このマージンだけではとてもではないですが、食べていけないのではないかと心配したくなるようなスペックが顧客に提供されています。
しかしながら現実には国内業者は顧客に見えないところで、実に様々な売買をぺレーションを行っているのです。
それがディーリングデスクを社内に置く形の「DD方式」と呼ばれるものなのです。DD方式のデスクが行うのは概ね以下の4つになります。
1.顧客間の売買の相殺
同一通貨ペアにおける顧客間の売りと買いの相殺は社内でまず行います。
2.顧客からのオーダーに関する反対売買の実施
顧客から着たオーダーは反対売買を行うことで処理するケースがあります。これはインターバンクの顧客からのオーダーに対する売買と同じようなものです。
3.顧客のオーダーをカバー先に流す業務
反対売買を行わずに顧客からのオーダーを単純にカバー先のインターバンクなどに流すことも行います。相場に猛烈なトレンドが出ているような場合には反対売買よりもリスクが少なく確実に儲けを出すことができるからです。
4.呑みを行う
4つ目が国内業者ならではのオペレーションとなる呑みの行為です。
個人投資家のほぼ9割は三か月以内に証拠金を使い果たして、市場から退場していくのがこの市場の常となっています。
しかし、カバー先に繋がらなくても、ほとんど9割近い顧客は市場の動く方向と間違った方向に売買をしていますから、放置しておけば自ら証拠金を減らして退場してくことになるわけです。
以上この4つの操作を常に行っているわけですが、この4つのオペレーションの比率がどの位なのかについては全く情報は開示されていません。
その昔海外FX業者には呑みしか行わない業者がそれなりにいたのですが、日本では金融庁から免許を受けている業者でもこうした行為を行うことが暗に認められているところがなんともダークです。
こうしてみますと、海外業者と国内業者はかなり内部でのオペレーションが異なることがしっかりと理解できるようになります。これがあるからこそ見かけ上非常に有利に見える最狭スプレッドなるものを提供できるのです。
しかし実際には顧客のわからないところで、かなりの利益を確保しているのが現状です。
国内業者が儲かるのは個人投資家がストップを置かないから?
「呑み行為」という視点でみますと、国内における個人投資家はいくら危ないから設定しろと注意喚起をしてもストップロスをほとんど起きませんから、強制ロスカットになるまで証拠金を食いつぶすのが通例になっております。
この投資家の行動が「国内店頭業者に思わぬ利益をもたらしている」可能性もあるといえそうです。
暴落が起きても損失は顧客が負担するたけですから、むしろ無闇にカバー先にオーダーを出さないほうが儲かることも考えられるというわけです。
以上のようにFX業者が「NDD方式」か「DD方式」かという問題は実は相当根の深い話しであり、ある意味でいいますと海外業者の方がよほど透明性の高いまともなビジネスを行っているといえるのです。