2014年の大統領選を僅差で勝利したルセ

背任罪に問われていたブラジルのルセフ大統領に対する弾劾裁判の審理を行っていた ブラジル連邦上院議会は、31日最終採決を実施し、 有罪61名、無罪20名(弾劾成立は全体の2/3(54名)以上必要)で、有罪判決を出しました。 これによるルセフ大統領は失職し、代行を務めているテメル副大統領 ルセフ大統領の本来の任期2018年末まで大統領を務めることとなります。 2014年の大統領選を僅差で勝利したルセフ大統領ですが、 政府系石油会社ペトロプラスに絡んだ汚職問題で当初から批判を浴び、 今年3月になって、300万人規模の大幅だデモが起こり、 さらには最大勢力を誇るブラジル民主運動党(党首は今回大統領につくテメル氏)が連立政権を離脱するなど 騒動が強まるにつれて、 通貨的にはレアル高の動きが広がっていました。 一般的には大統領の交代など政治的な混乱は 投資資金の当該国からの流出を招くこともあり、 その国の通貨売りとなります。 しかし、社会保障に軸足を置きすぎ、不況が深刻化したとの批判がつよいルセフ大統領と比べて 経済成長と社会保障の両立を目指し、抜本的な経済政策の変革を志向するテメル新大統領のほうが 市場からの受けがよく、レアル買いの動きが優勢となったようです。 動きが強まった3月からの動きをみると ドルレアルは4.0000近辺から3.1000近辺まで約半年で9000ポイントの大幅安。 すでにここまで織り込みが進んでいたことで 実際の弾劾が決まった昨日の動きは目立たなかったものの、 材料がレアル買い方向という認識は強いものとなっています。 今後については、テメル新大統領が打ち出す経済政策動向といったところ。 市場に失望感を与えず、積極的な経済支援を実施できればレアル買いがもう一段強まる期待も持たれます。 もっとも、少し気になるのは米国の利上げ期待。 米国で早期の利上げが実施されるとレアルをはじめとする新興国通貨には 相当な売り圧力となります。 政治情勢によるレアル買いと、海外要因によるレアル売り。 両方の綱引きの中、今後の流れが決まっていきそうです。

[紹介元] ダックビル為替研究所 | Klug クルーク <ルセフ大統領失職>レアルの今後