CBOT大豆市場では中心限月のジリ高歩調が続いています。中心限月である11月限は、現地9日の取引において前日より3セント高の988セントでこの日の取引を終えました。現地8月2日の取引では953セントで取引を終えていたため、この5営業日で35セントの上げ幅を記録したことになります。 このような上昇場面を演じているとはいえ、現地6月10日の取引では1,200セント超えを試す水準まで値位置を切り上げていたことを振り返ると、現在の価格水準には低迷感があるのは否めません。 低迷している現在の水準から、大豆価格が再び浮上する可能性はあるのでしょうか。 現在、大豆価格を抑制している主な要因は、米国中西部での生育ならびに作柄状況にあります。米国農務省の発表によると、現在、米国の大豆主要産地18州での開花率は91%に達しているうえ、着サヤ率は69%に達しています。 これは、どちらも前年同時期、そして過去5年間平均を上回る水準です。大豆を生育する場合、8月に熱波が広がる傾向が強いこと、そして寒波の到来時期によっては降霜被害を受けるリスクがある、といった理由から、出来るだけ早く生育が進むことが好ましい、と考えられます。 そのため、現在、例年よりも早いペースで生育が進んでいることは、大豆豊作に向けて前進している状況にあるといえます。 この生育ペースに加えて重要なのが、どのような作柄状態にあるか、という点です。同じく米国農務省の発表によると、現在、米国の主要産地18州における生育中の大豆のうち、良~優が占める割合は72%となっています。 実は、この作柄が重要なポイントで、生育がどんなに早く進行していても、作柄が良好でなければ高いイールドの実現は望めません。 しかしながら今期の場合、現地6月6日に開始された作柄報告の発表以来、良~優の占める割合が70%前後を維持する状況が続いています。これは米国の大豆生産量がはじめて39億ブッシェルを超え、米国の需給状況に改善が見られた2014年と同じ作柄パターンです。 その2014年の大豆生産量は39億2,700万ブッシェルでした。一方、今年の生産量については、38億8,800万ブッシェルと予測されています。 しかしながら、これまでの作柄状況を見ている限り、この生産量予測は今後、上方修正される可能性が高いように思われます。 というのもまず、今年の作付面積自体が2014年の8,330万エーカー、そして過去最大の生産量を記録した2015年の8,270万エーカーを上回る8,370万エーカーとなっているからです。 また、イールドについても2014年が47.5ブッシェル、2015年が48ブッシェルだったのに対し、46.7ブッシェルと控えめとも見ることが出来る予測に抑えられているのです。 これまで良~優の状態が70%前後を維持するという、大豆の作柄としては極めて良好な生育を見せていることから、今後、大豆のイールド予測が上方修正される可能性が高く、これに伴って、米国の大豆生産量予測も引き上げられると見られます。 ちなみに、イールドが2015年の水準まで引き上げられた場合、収穫面積予測の8,300万エーカーとイールドを掛け合わせると、生産量は39億8,400万ブッシェルと、40億ブッシェル実現に迫る数値が出てきます。 需要が現在予測されている39億7,000万ブッシェルと仮定した場合、期末在庫率は9%台まで回復してくることが見込まれ、これに伴い、米国内の大豆需給タイトに対する懸念は一気に和らぐことになるでしょう。 とはいえ、8月は米国での大豆生育にとって最も重要な時期であり、この時期に厳しい高温乾燥に見舞われるようであれば、一気に作柄が低下する可能性もあります。すでに着サヤ開始が報告されているとはいえ、8月の天候は軽視できないリスクと考えられます。 さらに、世界的に見た場合、ブラジルの成長に伴ってブラジルの大豆生産量の行方が米国内需給にも大きな影響をもたらしています。それだけに、今秋から開始されるブラジルの大豆生育に暗雲が広がるようであれば、輸入国側の需要が米国産に向けられてその分、米国内の大豆需給が引き締まる可能性は十分に残されています。 とはいえ、現在の米国の大豆生産は豊作に向けて日増しに前進している状況にあり、これが上値を抑制する要因として存在し続けることは間違いないでしょう。 CBOT大豆市場は、目先は8月の天候に異変が無い限り、今秋の米国の大豊作見通しが次第に強まり、1,000セント以下での低迷場面を強いられることが予測されます。しかしながら、9月以降はブラジルでの大豆生産にも注意を払う必要があり、ブラジルの状況次第では1,000セントを超える水準を目指す可能性がある点に留意しておきたいところです。 【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。
大豆市場のジリ高歩調はいつまで続くのか
[紹介元] コモディティレポート | Klug クルーク 大豆市場のジリ高歩調はいつまで続くのか