FX取引でまことしやかに囁かれるのが業者による「呑み行為」の噂です。
これはFXというビジネスの特性から言われやすいものなのですが、ここで言う「呑み行為」というのは相対契約を結んでいる顧客から受けたオーダーをカバー先に付けず、そのまま放置しておくことです。
つまり、顧客が自分で損失をだした時に「証拠金だけ没収してお仕舞いにする」といった動きのことを言います。まさに顧客からのオーダーをそのまま呑み込んでしまうので「呑み行為」と呼ばれているわけです。
呑み行為は競馬で考えると分かり易い
FXの呑み行為は少々分かりづらいかもしれませんので、最もわかりやすい「競馬」の世界で考えて見ましょう。
Aさんは、職場の同僚3人と毎週馬券を購入していました。たまたま、他の3人がその週末だけ馬券を買えなくなったので、まとめて購入する事を頼まれました。
3人の購入馬券をメールで受取りましたが、レース当日になりこの馬券が当たるはずがないと考えたAさんは「あえて」馬券を注文しませんでした。
馬券が当たってしまえば、当然「掛け金×倍率」の金額分について自腹を切らなくてはなりません。しかし、Aさんの思惑通り全ての馬券が外れました。
Aさんは、ここで受け取っていた3万円を自分の懐に入れてしまいます。他の3人はこの行動に気づく術はありません。
これが、競馬での「呑み行為」になります。今回の事例は小規模は話ではありますが、結果的には立派な「違法行為」となります。
これを大規模で行っている「ノミ屋」と呼ばれる組織もおり、反社会勢力の資金源になっていると言われています。
競馬は「農林水産省」が管轄する公営ギャンブルです。レースを開催する為には、様々な経費がかかりますので馬券の売り上げから25パーセントが最初から差引されています。
「ノミ屋」ではこの25%が全くかからないことになりますので、単純にこの25%が最低限の儲けになるのです。
呑み行為でなぜFX業者は儲かるのか?
FXに戻って考えて見ますと、なぜ「呑み行為」で業者は儲かることになるのでしょうか?それにはFXならではの事情が潜んでいるからです。
通常新規にFXを始める個人投資家と言うのは、日本では残念ながらそのうちほぼ90%以上が初期に入金した証拠金を使い果たして「市場から退場」していっているという現実があるのです。
つまりFX業者はカバー先にオーダーを出さなくても、あるいは「DD方式」で自社内に設置したデスクが反対売買を積極的に行わなくても、顧客の9割近くが自ら投資に失敗して証拠金をすべて失ってしまうわけです。
実に簡単な話で業者は「何もしないで客の取引を待てばいい」ということになります。
これは国内、海外問わず常に投資家から疑念が渦巻いている部分であり、とくにハイレバレッジを利用できる海外業者で、どこの国からもライセンスを取得していなところは、専らこれをやっているだけなのでは?と噂が後を絶ちません。
しっかり勝って利益を出す、ごく一部の個人投資家に利益分を支払ったとしても、その他大勢の「自滅型の負け組」の総額から考えれば、全く問題ないぐらいの利益が「呑み行為」で創出できるというわけです。
とくにハイレバレッジ取引を使う個人投資家は、国内での取引よりも断然早く入金した証拠金を失うことになりますから、こうしたやり方の利益率は猛烈に高くなるのです。
1000倍以上のレバレッジを名乗る業者には、事実こうした輩が存在していたようですが、ほとんどの利用者はみな負け越して市場から去っていくので、実際に明るみに出るのは時間がかかるという特殊性もあります。
呑み業者はFXを装うただの詐欺
顧客は実際に負けて退場しますから、詐欺にあったとは誰も思いません。
冷静に考えてみれば表面上はFXを一生懸命やっているようにみえますが、ただ負けたことで証拠金を巻き上げられているだけで、実際はFX取引とも全く関係は無いわけです。
これでは話にはなりません。ハイレバレッジを提供する業者はしっかりといくつもの「主要国でライセンスを取得」しており、資金は大手先にしっかりと分別管理ができている業者でなければなりません。
取引を始める際には、そうした点を徹底的にチェックすることが必要です。
「みせかけのレバレッジ」の大きさや、その他のサービスにつられて取引をしないことが自身の資産を守るうえで重要となります。