きょうのNY為替市場はドル買いが強まり、ドル円は102円手前まで上昇する場面も見られた。この日の最大の注目はイエレンFRB議長の講演だったが、議長は「この数ヵ月で追加利上げへの説得力が増した」と述べた。この発言に講演が伝わった直後は為替市場もドル買いの反応を見せたが、その場は直ぐに戻していた。あくまで市場が期待していたのは9月のヒントを示すかどうかだったが、それについては明確な言及はなかった。
一方でイエレン議長の講演を通過し、ドル売りの動きも見られなかったことから、ドル安を期待していたショート勢からの買戻しも出ていた。その流れの中で、フィッシャーFRB副議長の発言が流れ、「8月雇用統計はFOMCの決定に影響。イエレン議長の発言は9月利上げの可能性と整合」と述べたことをきっかけにドル買いが加速している。
来週は米雇用統計の発表が予定されているが、その中味次第では、9月利上げの可能性が一気に高まりそうな気配も出てきている。ドルショートを積み上げていたファンド勢もリスクを意識し巻き戻しを活発化させた模様。
ドル円はイエレン議長の講演後に100円割れを試す動きも見られたが、一気に反転し、102円手前までストップを巻き込んで上昇している。二桁をターゲットにしたショートポジションがかなり積み上がっていたこともあり、一気に巻き戻しが入った格好。ドル円の上昇に他のユーロ円やポンド円といったクロス円も上昇しており、ユーロ円は114円台を回復している。
一方、ユーロドルは売りが強まり、1.13台から一時1.11台まで下落している。21日線とフィボナッチ38.2%戻しが控える1.1210付近を下回ってきており、7月下旬から続いているリバウンドの流れが一旦終了するか、来週以降の動きが注目される。
ポンドドルも1.32台半ばに上昇後、1.31台前半に下落している。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美