年金運用が過去4四半期で3回目の赤字を計上

 日本の年金資金を運用するGPIFが、26日に2016年4~6月期の運用実績を公表。この四半期は5兆2000億円の赤字だった。
 これでGPIFの運用は、過去4四半期で3回目の赤字となる。2015年7~9月期は過去最大の7兆9000億円の赤字。そして10~12月期の黒字を経た後、2016年1~3月期も5兆3000億円ほどの赤字だった。
 長期的に見るとまだ黒字になっている。GPIFが自主運用を始めたのは2001年だが、その時点から今年3月末までの累積利益は45兆円。しかし4~6月期の赤字を引くと40兆円ほどとなる。
 ただ問題は、2014年秋にGPIFが運用方針を変えてからの累積で赤字に転落した点にある。2014年秋に、GPIFこれまでより株式の比率を増やし、債券の比率を減らすという大胆な運用方針転換を行った。それは日銀の異次元緩和で債券利回りが下がっているため、債券だけでは思うような利益が出しにくくなったことも一因としてある。
 そして4~6月期の赤字によって、方針転換以降の1年9ヶ月の累積が赤字になった。これは方針転換自体が誤りだったのではないかという批判を高める要因となるだろう。
 何にしても、過去3回の赤字から言えることは、年金の多くを株式で運用することはかなりリスクが高いということだ。今は米国市場が堅調なのでまだ良いが、今後リーマンショックのような事態になり米国も暴落したら、目も当てられない状況になる。

[紹介元] マーケット・オーバービュー 年金運用が過去4四半期で3回目の赤字を計上