「経済の好循環」を目指す安倍政権は「少なくても前年並みの賃上げ」を求めていた

二〇一七年春闘は十五日、自動車、電機など大手企業が労働組合の賃上げ要求に一斉に回答する集中回答日を迎えた。経営側は基本給を底上げするベースアップ(ベア)を四年連続で実施するが、妥結額は二年連続で前年を下回る見込み。業績回復に伴って各社がベアを再開した一四年以降では、最も低い水準にとどまる見通しとなった。

「経済の好循環」を目指す安倍政権は「少なくても前年並みの賃上げ」を求めていた。しかし英国の欧州連合(EU)からの離脱やトランプ米政権の誕生もあり、経営側は世界経済の先行きを不安視。前年並みの賃上げに慎重な姿勢を崩さなかった。政府が主導する「官製春闘」に限界が見え始めている。

自動車、電機の各労組は前年と同じ三千円のベアを要求していた。これに対しトヨタ自動車は前年より二百円低い千三百円、日産自動車は前年の半額の千五百円を回答。タカタ製エアバッグのリコールが一段落したホンダは前年より五百円高い千六百円のベアに応じた。電機大手では、日立製作所とパナソニックが前年を五百円下回る千円の回答を出した。経営再建中のシャープと巨額損失を抱える東芝は、ベアの統一要求から離脱している。

今春闘は十五日以降、中小企業からの回答が本格化する。大手との賃金格差が縮小するかが注目点。このほか今春闘では、長時間労働の是正など「働き方改革」の取り組みも焦点になっている。給与を減らさず所定の労働時間を短縮したり、終業から次の勤務まで一定時間を空ける規制を取り入れたりする企業も増える見通し。

自動車や電機など製造業大手の経営側が、労働組合に春闘の回答内容を一斉に伝える日。自動車や電機は春闘相場のけん引役とされ、3月中旬ごろに設定される。下旬以降に妥結を迎える非製造業や中小企業の水準に影響を及ぼす可能性があり、この日にどの程度の賃上げが実現するかが注目される。

(東京新聞)

[紹介元] 東京新聞 経済面 色あせる官製春闘 ベア再開後、4年で最低