あらゆる保護主義に対抗し、自由貿易を推進する重要性を確認する首脳宣言を採択した

【リマ=後藤孝好】ペルーの首都リマで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が二十日午後(日本時間二十一日午前)、閉幕した。会議では、国内での格差拡大への懸念から保護主義的な傾向が広がることを危惧する発言が続出。あらゆる保護主義に対抗し、自由貿易を推進する重要性を確認する首脳宣言を採択した。

開催国ペルーのクチンスキ大統領は閉幕後に記者会見し、「自由貿易に対する抵抗の背景には、グローバリゼーションの背後に取り残された人々のいら立ちがある」と指摘した上で、「自由貿易は世界の繁栄にとって重要だ」と強調した。

首脳宣言は「あらゆる形態の保護主義に対抗する責務を再確認する」と明記。「貿易や投資、開かれた市場の恩恵を行き渡らせるため、社会のあらゆる分野に働き掛ける必要がある」と経済格差の解消を訴えた。

安倍晋三首相は会議で「格差が拡大するという懸念が保護主義をもたらす」と指摘。環太平洋連携協定(TPP)脱退を掲げるトランプ次期米大統領を念頭に「自由貿易への反対は、自由貿易に背を向けることではなく、包摂的な成長をもたらすような経済政策によって乗り越えるべきだ」と訴えた。TPPについては「自由で公正なルールに基づく経済圏を創出する」と意義を強調した。

APECに参加する日本や米国、中国など二十一カ国・地域の貿易や投資の自由化を目指す「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」に関する「リマ宣言」も採択され、発効が困難な状況になっているTPPについて、参加国が国内手続きの完了に向けて努力すると言及した。次回のAPEC首脳会議は二〇一七年にベトナムで開かれる。

◆自由貿易 富の再配分 急務

ペルーの首都リマで開かれたAPEC首脳会議は、世界各地で台頭する保護主義にどのように立ち向かうかが焦点となった。

一九二九年の世界恐慌の後、自国第一主義の内向き志向による保護主義の台頭が第二次世界大戦につながった教訓から、各国は戦後、自由貿易を積極的に推進。世界貿易機関(WTO)などによって、多くの国が経済成長を成し遂げた。

開催国ペルーのクチンスキ大統領は「保護主義を唱える者は三〇年代の歴史に学ぶべきだ」と指摘する。

だが、グローバル化による競争の激化は、勝ち組である大企業など一部に富が偏在する結果を招いた。米国など先進国でも製造業が人件費の安い海外へ流出して多くの雇用が失われ、米大統領選では格差拡大への不満が噴き出した。

自由貿易体制が岐路に立つ中、世界が再び保護主義へ走らないためにも、各国が税財政改革などで富の再配分を進め、格差を是正する取り組みが急がれる。 (リマ・後藤孝好)

(東京新聞)

[紹介元] 東京新聞 経済面 APEC首脳宣言「保護主義に対抗」 経済格差の解消訴え