経済産業省は二十日、財界人らとつくる「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会」(東電委員会)を開き、提言を正式決定した。福島第一原発の廃炉と賠償、除染に必要な費用を二十一兆五千億円と従来の想定(十一兆円)から倍増すると推計した上で、ほとんどを電気料金への上乗せなど国民負担により回収する。一方、政府は同日、除染費用について東電に負担させる方針を転換し、帰還困難区域の除染を国費で行うと閣議決定した。二〇一七年度予算で三百億円を投じる。 (吉田通夫、桐山純平)
従来東電が負担してきた福島第一原発事故の処理費だが、一連の決定で税金と電気料金の両面で、国民に負担転嫁する道が開けた格好。国民負担増大の懸念が強まっている。
東電委員会の伊藤邦雄委員長は提言を世耕弘成経産相に手渡す。
事故処理費用の中でも、賠償に充てる費用七兆九千億円のうち、二兆四千億円を「日本で原発が始まった一九六六年から電気料金に上乗せして積み立てておくべきだった費用」という意味で「過去分」と定義。過去から原発のなかった沖縄電力の管内を除き、すべての電気料金に含まれる大手電力会社の送電線の利用料「託送料金」に上乗せ。契約を新電力に移した消費者にも請求する。
膨張する廃炉費用については東電に余裕ができて料金が下がる状況になっても、福島第一原発の廃炉費用への振り向けを優先させることになった。料金が下がりにくくなり、利用者らが実質的に電気料金で負担することになる。
東電の経営改革では中部電力と共同設立した火力と燃料調達の会社「JERA」も参考にしながら、送配電などの事業でも他社と再編や統合を模索し、費用を抑える効果を狙う。原子力部門では、提言に柏崎刈羽原発(新潟県)の「再稼働を実現する」と明記。東電が来年初めにつくる新しい事業計画に反映させる。
一方、政府は福島第一原発事故で大きな被害を受けた帰還困難区域について、来年度から「復興拠点」地域を設け、五年後をめどに避難指示の解除を目指すことを決定。これを国の事業と位置付け、除染にも税金を投じる。「福島復興加速のための基本方針」に「東電に(除染費用を)求償せずに国が負担する」と明記した。
除染は従来、東電に費用負担させる方針だったが、政府は国民負担による東電救済に方針を変えた形だ。
(東京新聞)
[紹介元] 東京新聞 経済面 東電委提言 福島第一原発の処理21.5兆円は電気代で












