きょうのNY為替市場、この日発表のISM製造業景気指数を受けてドルの戻り売りが強まった。ISM指数は49.4と予想を大きく下回り、景気判断の分岐点である50も下回った。50を下回るのは2月以来。詳細を見ても、雇用が2ヵ月連続で低下しているほか、受注や生産も大きく低下している。今回のISMはさすがに弱いと言わざるを得ないであろう。明日の米雇用統計を前にドルは買い戻しが加速していたが、冷や水を浴びせられた格好。
ドル円は明日の米雇用統計を控え買い戻しが強まり、一時104円を付ける場面も見られた。マクロ系のファンドの買いも入っていたようだが、主に投機筋が中心だった模様。しかし、ISM指数が弱い内容だったことから、ドル円は一気に売りが強まり、103円台前半に下落している。買いの主体が投機筋だっただけに値が軽く、直ぐに戻り売りに押されたようだ。
一方、ユーロドルは急速に買戻しが入り1.12台に上昇。明日の米雇用統計を控えて、今週はドルの買い戻しも見られ、ユーロドルは戻り売りに押される展開が続いていた。1.11台前半にある200日線を試す動きがここ数日続いていたが、きょうもサポートされた格好となっている。
ISM指数を受けての買戻しの動きは、やや過剰反応のようにも見られるが、明日の米雇用統計を前に神経質になっているかもしれない。
ポンドは強い動きが目立った。ポンドドルはISM指数が弱かったこともあり、一時1.33台まで上昇。ロンドン時間に発表になった8月の製造業PMIが予想以上に強い内容で、景気判断の分岐点である50も上回った。ポンド安の効果もあるのか、英製造業のセンチメントにはEU離脱問題の悪影響が、現段階では強まっていない様子が示されている。
明日は建設業のPMIが発表され、こちらも期待したいところではあるが、英住宅市場や商用不動産市場の落ち込みを考慮すれば、製造業ほどの強さを見せるかは未知数。
7月以降続いているレンジを上抜ける可能性も出始めているが、明日の米雇用統計次第といったところではある。特に対ユーロでの買い戻しが続くか注目される。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美