<ジャクソンホール会合>を世界が注目~イエレン議長は利上げを示すか!?

 米国ワイオミング州北西部に位置するジャクソンホール。  全米有数の観光地であるイエローストーン国定公園の南口に近く、観光地への拠点として栄えるこの地では、毎年8月の終わりにカンザスシティー連銀が主催する年次経済シンポジウム、いわゆるジャクソンホール会合が開催されます。    今年は25日から27日にかけて開催される同シンポジウム。各国から中央銀行要人などが出席を予定しています。昨年は欠席したイエレンFRB議長も、今年は出席を表明しています。  26日に講演を行う予定となっているイエレン議長。講演テーマは例年通りだとこれからの金融政策動向がメインなり、利上げ見通しについて市場の興味のど真ん中の話が出てくるだけに、世界中から同会合に注目が集まっています。(慣例通り正式なプログラムなどは現地時間25日まで発表されません)  米国の金融政策動向、とくに追加利上げの時期については、このところにいろいろと見方が分かれています。  昨年12月にゼロ金利を解除し現状の0.25%-0.50%のレンジとしましたが、その際には3月ごろにも追加利上げとの期待がありました。米景気回復の鈍化などもあって、その後はいったん9月が本線となりましたが、6月の英国によるEU離脱決定、いわゆるブレグジットによって世界中の混乱が予想されたことで利上げ期待が一気に後退。それどころか、一時利下げ期待まで出てくる状況となりました。  ブレグジット後の混乱が落ち着くと、利上げ期待がいったん回復してきましたが、先月末に発表された米4-6月期GDP(前期比年率・速報値)が予想の+2.5%に対して、わずか+1.2%にとどまり早期の利上げ期待が一気に後退。  その後、今月5日の米雇用統計の好結果で少し巻き戻しましたが、9日の米4-6月期労働生産性指数がプラス圏回復の事前予想に反して3期連続マイナスとなる-0.5%という弱い結果に終わり、さらに12日の米小売売上高が予想に反して横ばい、コアは-0.3%に落ち込むなど、雇用統計以外の重要指標が相次いで弱い結果を示したこともあり、早期利上げについては厳しい見方が広がっている状況です。  とはいえ、FRB要人は比較的強気な見方を示しています。 ダドリーNY連銀総裁は16日「利上げの時期は近づいている、9月の利上げはあり得る。状況を考えると長期債利回りはかなり低い」と慎重な姿勢で知られる同総裁にしてはかなりタカ派な見方を示しました。地区連銀総裁によるタカ派発言は今年に入っていろいろと出てきていますがNY連銀は立場が違います。  NY連銀は金融政策の実務を担う重要な機関ということもあり、発言権が持ち回りとなっている他の地区連銀と違い、FOMCで常時発言権を持ち、副総裁もオブザーバー参加し、総裁はFOMC副議長職を兼ねるという超重要な位置づけ。それだけに今回のダドリー総裁発言は意味が大きいと考えらえています。  こうした中、イエレン議長はどこまで利上げに向けての姿勢を示してくるのか。金利面での織り込み度合いから見た利上げ確率は現状では9月で18%、12月まででも48.8%と年内据え置き期待が50%を超えている状況ですが、発言次第では一気に上昇してくる可能性があります。  とくにダドリー総裁が指摘したような9月の利上げ期待が本格化した場合、相当大きなドル買い材料となりますので、注目してみていきたいところです。