政府は三十日、廃炉が濃厚な高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)に代わる高速炉開発について話し合う「高速炉開発会議」の三回目の会合を開き、新たな高速炉の開発計画を年明けから具体化させる骨子を固めた。高速炉の開発方針を前進させて核燃料サイクルを延命させる。さらに、もんじゅと同じデータは高速炉でも得られるとして、もんじゅの再稼働は見送る方向を打ち出した。
政府は、原発の使用済み核燃料から出る放射性廃棄物(核のごみ)を減らせるとされる高速炉は必要だと強調。骨子では、もんじゅに代わる高速炉の具体的な開発計画を来年から作り始め、二〇一八年をめどに工程表を策定。今後十年ほどかけて、実用できる高速炉の設計思想と開発体制を固めるという。
世耕弘成経済産業相は会議の冒頭に「技術をどのように獲得していくのか、もんじゅ以外の方策も含め幅広く検討したい」と述べ、高速炉の開発に意欲を示した。
もんじゅについて文部科学省は前回の会合で、再稼働すれば放射性廃棄物を減らすために必要なデータが得られるなどと説明して再開に意欲を示していた。しかし、フランス政府が計画する高速炉の実証炉「ASTRID(アストリッド)」に参画したり、最も初期段階の研究に使われる実験炉「常陽」(茨城県、停止中)などを活用することで同じようなデータが得られると判断。もんじゅの再稼働は見送り、当面は停止したまま研究を続ける方向となった。
政府は近く正式な方針としてまとめ、年末に閣僚会議を開いて決定。併せてもんじゅの廃炉も決めるとみられる。
会合は非公開で、中には「国民の納得が必要」との意見もあったという。しかし、もんじゅの廃炉や新たな高速炉の開発に向けて必要な費用について具体的な議論はなく、国民の負担額は不明。高速炉に詳しい九州大大学院の吉岡斉(ひとし)教授(科学技術史)は「高速炉は構造が複雑で技術的に難しく、もんじゅも出力二十八万キロワットで建設に六千億円かかっているから、百万キロワットで三千億円といわれる一般的な原発よりも七倍ぐらい高い」と指摘している。
◇高速炉開発方針の骨子案
▼核燃料サイクルを推進し、高速炉の研究開発に取り組む方針を堅持
▼世界最高レベルの高速炉開発、実用化、国際標準化を実現
▼国内に蓄積した技術・知見・人材を徹底活用
▼国際ネットワークを利用して最先端の知見を吸収
▼メーカー、電力、研究機関が連携し、責任を一元化した体制を構築
▼高速炉開発方針を具体化する工程表の策定作業を2017年初頭から開始。高速炉開発会議の下に作業部会を設置し、18年をめどに策定。
▼実証炉に向けた今後10年程度の開発作業を特定
核分裂反応を起こすために、飛ぶスピードが速い「高速中性子」を使う原子炉の総称。炉心の熱を取り出す冷却材に水を使う一般の原発(軽水炉)と異なり、中性子を減速させないために液体ナトリウムを使う。炉心の周りに増殖用の燃料を置き、使った以上の燃料を生み出すものを「高速増殖炉」と呼ぶ。政府は当初、一般の原発から出た使用済み核燃料を再処理して、高速増殖炉などで使うエネルギー政策を推進。2050年までに高速増殖炉の実用化を目指すとしていた。
(東京新聞)
[紹介元] 東京新聞 経済面 核燃サイクル延命 新高速炉の開発具体化 政府骨子案 工程表年明け着手












